企業年金運用の「AIJ投資顧問」に委託の2,000億円失われる:投資顧問会社調査へ

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フジテレビ系(FNN) 2月24日(金)12時11分配信

企業年金などの運用で知られる独立系投資顧問会社の「AIJ投資顧問」に委託されていたおよそ2,000億円の大半が失われていることが明らかになり、金融庁は24日朝、AIJに対し、業務停止命令を出した。

最大240%の利回りをうたい、年金の運用委託先としては業界トップの評価を受けたこともあるAIJ投資顧問。

しかし、実際の年金資産は、およそ200億円以下まで減少していたという。

自見金融相は午前9時半ごろ、「証券取引等監視委員会の検査中ではありますが、業務停止命令及び業務改善命令を出した」と述べた。

検査中に行政処分という異例の事態となったAIJ投資顧問は、およそ100の企業や職域団体の年金から、2,000億円以上の資産を委託されていた。

しかし、リーマンショックなどでほかの投資会社が低迷する中、安定的に収益が上がっていることが業界内で疑問視されていたことから、証券取引等監視委員会が検査に入り発覚し、報告を求めた際にAIJは、「毀損(きそん)額、毀損原因は検査中だが、投資家に説明できない状況」と答えたという。

金融庁は、顧客に虚偽の運用実績を報告し、実態を隠していた疑いがあるとして、24日午前8時すぎ、AIJに対し、24日から解約や引き出しなど全ての業務に対して、1カ月の業務停止命令と会社の財産を不当に使ってしまわないなどの業務改善命令を出した。

さらに、そのほかの投資一任会社263社にも、一斉調査を行うこととした。

金融庁と監視委員会は、事態を非常に重く見ており、年金資産の大半が失われた経緯などについて、解明を急ぐ方針。.
最終更新:2月24日(金)12時16分
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/fnn?a=20120224-00000915-fnn-bus_all


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企業年金:揺らぐ信頼 投資顧問会社調査へ

毎日新聞 2012年2月24日 21時40分(最終更新 2月24日 21時53分)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120225k0000m020077000c.html

企業年金などの運用を受託している投資顧問会社「AIJ投資顧問」(東京都中央区、浅川和彦社長)が、高利回りで収益を上げていると虚偽の情報を伝えていたとして、金融庁は24日、金融商品取引法違反の疑いで同社に1カ月の業務停止命令を出した。同社に預託された約2000億円の資産の大部分は消失しており、金融庁は、AIJの運用手法などの解明とあわせ、他の投資顧問会社の運用が適正に行われているかの調査を進める方針だ。【田所柳子、宮島寛、浜中慎哉、堀智行】

日本の年金制度は、(1)国民全員が対象の基礎年金(1階)(2)会社員などが加入する厚生年金や共済年金(2階)(3)企業が独自に上乗せする企業年金など(3階)--の3階建てになっている。2階までは公的年金として、政府が保険料を集めて「年金積立金管理運用独立行政法人」が民間に運用を委託。運用資産約109兆円のうち67%は、国債など安全な代わりに利回りは低い金融商品で運用している。

3階部分の企業年金は、従業員や企業の資金を元手に、機関投資家に運用を委託するなどしている。公的年金を補う目的で、大手企業などが独自に整備した。かつては信託銀行や生命保険に運用は限定されたが、90年以降の金融自由化と97年の規制緩和で参入事業者が急増した。企業年金連合会によると、企業年金の資産残高は約73兆円(11年3月末)で、投資顧問会社が約3割、信託銀行が約5割、生保が約2割を運用している。

投資顧問会社の運用の特徴は「生保などに比べてリスクを取ること」(金融関係者)とされる。リーマン・ショック後の株価低迷で国内株式を減らす一方、安全な国債に加え、もうけも大きいが損失を被る可能性も高いヘッジファンドへの投資を増やす動きもあるという。

ただ、金融市場の低迷で運用環境は悪化している。連合会のまとめでは、企業年金の運用利回りは90年代までプラスだったが、00年度にマイナスに転落。その後05年度にプラス19.16%を記録するなど乱高下している。10年度は資産の約27%を国内債券、約5%をヘッジファンドで運用し、利回りはマイナス0.54%だった。

大手証券アナリストは「海外の信託銀行などを取引に使ったり、複雑なデリバティブ(金融派生商品)などを組み合わせて損失が見つからないようにしていたのでは」と指摘する。


◇「高収益」発覚の端緒

今回の問題が発覚したきっかけは、AIJの「高収益」に疑問を感じた外部からの指摘だった。AIJは顧客に「高収益を上げている」と虚偽の説明を続ける一方で、89年の設立以来、証券取引等監視委員会の定期検査を受けたことがなかったという。当局の監督体制も問われそうだ。

投資顧問会社は、07年の金融商品取引法施行で認可制から登録制になったこともあり急増。年金などの契約資産は146兆円(日本証券投資顧問業協会、11年9月末)に及ぶ。金融庁と証券監視委は、事業報告書の提出義務づけや、財務状況などの定期検査をしているが、顧客からの年金運用を一任されている「投資一任業者」は263社に上る。検査は年15社程度しかできず、単純計算で約17年に1回しかない。年1回の事業報告書では「虚偽報告を見抜くのは困難」(金融庁関係者)という。

金融庁はあまりの異常事態に、違反行為が確定しない段階でAIJを業務停止させる異例の厳しい措置を取り、投資一任業者すべてを調査する。自見庄三郎金融担当相は24日の記者会見で「(規制強化などの)選択肢を排除しない」と説明。他にも悪質な例が見つかれば、検査・監督体制の強化などを検討する。


◇追加の拠出や給付減額懸念

確定給付型の企業年金は、従業員に一定の利回りを約束し、掛け金を集めて運用している。AIJへの委託比率が高ければ、運用資産が大幅に目減りし、企業は追加拠出や年金給付額の減額を迫られる懸念がある。

年金基金は通常、複数の運用機関に分散投資している。埼玉県トラック厚生年金基金は年金資産の5%強、産業用ロボット大手の安川電機は2%未満をAIJに委託。276社が加入する「京都府建設業厚生年金基金」は1割強に達し、「稼ぎ頭とされていたのに」と頭を抱える。

別の運用先の実績が好調なら損失をカバーできるが、金融市場は低迷が続く。このため「常にプラスの利回りを上げるAIJへの拠出比率を段階的に増やしてきた」(埼玉県トラック厚生年金)基金も多いとみられる。

595ある厚生年金基金(10年度)の7割強で、将来に備えた積立金が不足するなど、企業の年金財政は厳しい。AIJの顧客の多くは、経営環境が厳しい中小企業の業界団体を設立母体とする「総合型厚生年金基金」だ。追加拠出の余裕がなければ、基金解散や給付減額などを迫られる。

毎日新聞 2012年2月24日 21時40分(最終更新 2月24日 21時53分)
http://mainichi.jp/select/wadai/news/20120225k0000m020077000c.html